博士課程のお金事情
こんにちは,バーチャルサイエンティストの卵のRueです.
前回の記事では,博士の生活やいいところ,悪いところ,向いている人,向いていない人について,現役博士課程のRueがぶっちゃけて暴露しちゃいました!
場合によっては,
まだみてない人は,前回の記事を見てからこの動画を見た方がより楽しめると思いますので,ぜひ,こちらからご覧ください.
そんな想像よりずっと過酷な博士課程の学生ですが,そんな学生を少しでもサポートしようと,博士の学生に対して様々なサポートが国や大学単位で行われているんです.
今日は,博士課程の学生に対して実施されている様々な金銭的なサポートを,現役博士課程の学生の僕Rueが一挙大公開しちゃいたいと思います.
現在博士課程の人や,博士への進学を検討している人,博士の生活に興味がある人にとっては必見だと思います.特に大学によって支援の内容が違ってたりするので,博士への進学を検討している人にとっては大学選びの意味でも重要になってくると思うので,是非最後まで見てみてください.
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博士に対する支援一覧
- 学振
- TA・RA
- 日本学生支援機構 奨学金
- 民間奨学金
- フェローシッププログラム
- 卓越大学院プログラム
- リーディング大学院プログラム
①~④が基本的にどの大学からでも応募可能なもの,⑤〜⑦が各大学独自の支援になっています.
結構いっぱいあるんですよね!!
是非,気になるところだけでも見てみてください♪
① 学振
それじゃ早速1つめ.
研究者の登竜門,日本学術振興会,通称学振.
これは,厳しい審査を乗り越えて,採択されると,生活費や研究費が支援されるという,博士の中では一番メジャーな支援ですね.
支援の内容は月々20万円の生活費と年間100万円程度の研究費の支援が主です.
とても恵まれた待遇であるため,毎年多くの学生が学振の申請を出して,採択を目指しています.
そんな学振シーズンに,twitterを覗いてみると,申請書を書いてる学生の阿鼻叫喚が聞こえてきます.
それもそのはず,学振の申請書を提出するには研究計画書の提出というとてつもなく重い作業が必要なんです.
学振は自分が今後どんな計画で研究を行っていくかを説明した研究計画書を書いて,それをプロの研究者が審査して合否を決めるという流れになっています.
そのため,プロの研究者に分かりやすく,かつ有用な研究なんだということを明確にアピールするように研究計画を書かないといけません.
審査する側は,バリバリ現役の研究者なわけなので,生半可な研究計画じゃ,見向きもされません.
申請書のフォーマットとしても,いわゆる科研費の申請書と似ているので,研究費獲得のための申請書を書くトレーニングとして,一流の研究者になる準備のための試験とも言えそうです.
めちゃめちゃ一生懸命,研究計画を練り込んでも,申請書を出した博士の学生の5人中4人は落とされちゃうんです.
しかも,この5倍という倍率,ただの5倍じゃないんです.
前回の記事でも話した通り,博士に進学する人は,有名大学の人や地頭が本当に良い人が多いんです.
そんな,日本の同年代でトップレベルで優秀な人たちの中で5倍という倍率を争うわけなので,相当にハードルが高いことが,予想できますよね.
実際に学振に採択された学生の大学毎の内訳を見てみると,東大,京大だけで約40%,その他旧帝大や慶応・早稲田といった有名大学だけで70%を占めることが分かります.
(引用:学振大学別採用ランキング)
支援の内容が充実しているし,競争率が高い分,採択されると実績にもなるので,各学生が死に物狂いで採択されようと努力しています.
大学によりますが,毎年4月から5月にかけて募集をかけているので,大学院2年生や博士課程の学生は是非チェックして,挑戦してみてください.
②TA・RA
次は,TAやRAについて.
TAはTeaching Assistantの略で,主に学部生向けの講義のお手伝いをするアルバイトのようなものです.
講義中にクラスを回って,躓いている学生に教えたり講義の準備をしたり,小テストの採点などをすることで,お給料をもらえます.
ほとんどの大学で実施されていて,ほとんどの大学院生が応募できると思うので,気になる人は是非,自分の大学のHPなどからチェックしてみてください.
次にRAですが,これはReserch Assistantの略.
大学によると思いますが,大学院生が大学の特定の研究プロジェクトに参加して,文献を調査したり,実験・解析などをしたりすることで,お給料をもらえる,研究のアルバイトみたいなもの.
お金をもらいながら,研究に必要なスキルを学べるので,自分の研究にも役に立つし,お金も稼げるしで一石二鳥です.
大学によって募集してたりいなかったり,条件があったりするので,気になる人は,是非,自身の大学のHPなどを参考に調べてみてください.
③日本学生支援機構 奨学金
次は,日本学生支援機構の奨学金.
いわゆる,奨学金と言ったら,これってくらい有名なやつなんだけど,実はこの奨学金,無利子で借りれる第一種奨学金は,大学院の修士課程で最大約211万円,博士課程で最大約440万円の返済免除の可能性があります.
審査基準は大学毎に異なりますが,主な評価項目としては,論文を投稿しているか,学会発表で優秀賞をとっているか,特許をとっているか,講義の成績はどうかなど.
これらの評価基準で大学側から推薦者として認められると,第一種奨学金で借りた奨学金の全額,または,半額が返済免除となります.
返済免除者の内訳はこんな感じ.
引用:授業料免除 認定結果
令和2年度のデータでは,修士課程の場合,奨学金の貸与終了者約2万人のうち,免除者は約6000人,そのうち,1300人が全額免除で4700人が半額免除って内訳ですね.
ざっくりと,上位10%以上あたりが全額免除で,上位30%くらいで半額免除って感じです.
博士課程だと,貸与終了者約2000人中800人程度が返還免除.うち,350人が全額免除で,450人が半額免除って内訳です.
博士課程の奨学金は毎月12.2万円なので,全額免除を勝ち取れたら,毎月12万円の生活費を給付されながら,自分の研究活動に打ち込めることになります.
居酒屋なんかでアルバイトして,毎月12万円の給料をもらうってのはなかなか大変ですが,全額免除になると,自分の研究だけにに打ち込んで,自身を研究者として成長させたり,成果を出しながら毎月12万円をもらえるって状態になりますので,時間の使い方として,より自分のためになりそうですよね.
推薦者の数は,大学毎にある程度決まっているそうので,有名大学ほど,競争が激しく,地方の大学ほど,推薦者枠を獲得しやすい傾向にあるようです.
修士の学生でも狙えるので,奨学金免除を狙う人は,指導教員と相談して,積極的に学会発表をしたり,論文の投稿を目指したりしてみてください.
④民間奨学金
次は民間奨学金について.
奨学金としては,さっきの日本学生支援機構の奨学金が有名だけど,実は最近民間の奨学金も充実してきてて,しかも貸与型ではなく給付型,つまり返済の必要がない奨学金が増えてきています.
例えば,このG-7奨学財団の奨学金.
こちらは,学部,修士,博士の誰もが応募可能な奨学金で,採択されると毎月10万円が給付されるというかなり大きい奨学金です.
勿論,審査には,成績だったり将来性だったりを厳しく評価される可能性はありますが,それでも,1年間毎月10万円をゲットできるというのは,その分のアルバイトをする時間をもっと有意義なことに使えるというわけなので,非常に大きな意味のある奨学金だと思います.
更に,民間の奨学金は,場合によっては併用が可能で,複数の奨学金を一気にゲットしちゃって,なんなら新卒の社会人並みの奨学金を得ることも可能かもしれません.
地域毎の奨学金なんかもあったりするので,各大学の大学院係やHPから調べてみてください.
また,以下に色んな奨学金についてまとめているブログへのリンクを記載しているのでこちらも参考にしてみてください.
https://washimaru-univ.com/minkankyufu-m/
⑤フェローシッププログラム
さて,次からは,各大学が提供する修士課程,博士課程のプログラムを紹介します.
まずはフェローシッププログラムから.
これは最近できたプログラムで,大学が国に対して,「学生をこんな人材に成長させるためのプログラムを作りたいんで,援助してください」って提案して,その案が国から採択されることで,実現した博士課程プログラムになります.
プログラムの履修者は,従来の卒業の単位の他に色んな講義や実習などを受けることで,プログラムの目的毎にさまざまな成長を遂げて,将来の日本を引っ張っていく存在になっていく,っていうことを目指したプログラムですね.
例えばグローバル人材だとか,AIのスペシャリストだとか,医療関係のスペシャリストだとか,そんな人材に成長するためのプログラムです.
各プログラムによって支援の内容は違うと思うのですが,例えば,あるプログラムでは,月々15万円以上の給付型奨学金,授業料免除,年間50万円の研究費といった支援を受けられる可能性があります.
基本的に,フェローシッププログラムは博士の学生が対象で博士の1年次または修士2年の段階で選抜試験を受け,それに通った場合に,プログラムの履修が認められます.
博士課程は中々ハードで,それ以外のことをする余裕はあまりありませんが,自分を成長させる機会をもらいながら,10万円以上の奨学金を得るっていうのは,本当に貴重で有意義だと思いますので,博士への進学を検討している人は是非,積極的にチャレンジしてみてください.
注意点としては,大学によっては,フェローシップがなかったり,特定の学部からしか受け入れてなかったりするので,その辺りは要チェックです.
以下ににフェローシッププログラムの一覧を貼っておきますので参考にしてください.
https://www.jst.go.jp/shincho/program/fellowship.html
⑥卓越大学院プログラム
次は,卓越大学院プログラムについて.
こちらも先程のフェローシッププログラムと同様に各大学院毎に設定しているプログラムになります.
フェローシッププログラム同様,各プログラムに履修申請をして,選抜された場合に履修することができます.
支援の内容もフェローシップと同様で,各プログラムによって様々ですが,月々数万円の奨学金や授業料免除,TAの斡旋,研究費,学会参加支援などを行っている場合があるようです.
こちらは主に修士課程からスタートするプログラムみたいで,プログラムの履修申請を学部の4年次に出して,実際のプログラムの活動を修士~博士の5年間に渡って実施するというものみたいです.
こちらも概要欄に一覧を記載しているページを載せておきますので,自分の大学に対象となるプログラムがあるか確認してみてください.
https://www.jsps.go.jp/j-takuetsu-pro/saitaku/index.html
⑦リーディングプログラム
さてさて,最後はリーディングプログラム.
これも,基本的には,フェローシップや卓越大学院プログラム同様に,各大学で設定されていて,選抜されることで履修できる,修士・博士のプログラムになります.
学部の4年の間に選抜を受け,修士~博士の5年の間に様々な講義や活動を通して,立派な人材に成長するってプログラムですね.
支援も,RAや給付型奨学金としての資金援助や,研究費の支給,授業料免除や様々な挑戦の機会など色んなサポートをしてくれるみたいです.
ちょっぴり注意したいのは,このプログラムは,国のサポートがすでに終了しているので,既に募集の取りやめていたり,支援の規模が小さくなっていたりする可能性があります.
興味がある人は,各プログラムの募集要項等をよく確認して選抜を受けてみてくださいね♪
概要欄にリーディングプログラムの一覧のページを載せときますね.
https://www.jsps.go.jp/j-hakasekatei/saitaku.html
まとめ
ということで,ここまで,博士課程の学生を支援する奨学金やプログラムについて紹介してきました.
やっぱり,世間的にも有名なのは学振なのですが,実は,今日紹介した民間の奨学金や奨学金の免除制度,各種プログラムを併用することで,学振に匹敵するかそれ以上の金銭的支援を受けることができます.
実際僕も,アルバイトなどをせず,研究に専念するだけで,十分生活できるだけの支援を受けています.
現在博士課程の人,今後博士課程への進学を見据えている学部生,修士課程の人,きっと役に立つ内容だったと思うので,是非参考にしてみてください.
今後も,このブログでは,僕の専門の最新の脳科学技術の情報だったり,今回のような大学や博士課程についてだったりの情報を発信していく予定なので,今回の話が面白かった,役に立ったよって方は是非,別の記事も見てみてね♪
それでは今日はこの辺で,また次回の記事でお会いしましょう.
バイバ〜い.