脳×AIの最先端研究
こんにちは,バーチャルサイエンティストの卵のRueです.
皆さん,自分の体調の変化って中々気づけないと思いませんか?
例えば,自分では元気なつもりでも,いざ作業を始めてみると,
- 集中力が続かない
- 緊張しすぎちゃう
- うまくパフォーマンスできない
ってこと,ありますよね!
僕も,よく一人カラオケに行くのですが,歌う気満々でカラオケにいったものの,たった数曲歌っただけで疲れがどっと出て,
こんな悲劇を避けるためにも,自分が疲れているのか,元気なのか,集中できる体調なのかを教えてくれるアプリとかって,あったら使ってみたくないですか?
今日は,そんなアプリや技術を開発中の日本の科学技術プロジェクト,
ムーンショットIoB
の研究について紹介しちゃいたいと思います.
ムーンショットIoBは,人の意識について研究していた神経科学者,金井さん率いる日本の科学技術プロジェクトで,脳とインターネットを接続する,Internet of Brains(IoB)によって,より豊かな生活を実現する技術を研究しています.
その目標は...
とっても挑戦的な科学技術プロジェクトですね.
前回の記事で,最新の脳科学を研究することで,この目標を達成しようとするムーンショットIoB全体について解説してますので,まだ見てないよって人は是非先にこちらの記事をチェックしてみてください.
- 現役の博士課程の学生で普段は脳科学の研究に従事
- 将来の夢はゲームの中に入り込む技術,フルダイブ技術の実現
- フルダイブの実現のためにも,皆さんに脳科学に興味を持ってもらいたい!
- ブログやYouTubeで最新の脳科学や役に立つ心理学情報を発信
なんて活動をしてます!
YouTubeでも活動しているので,動画で情報を得たいって人はこちらからチェック♪
ブレインアシスタント -Brain Assistant [BA]
さっそくですが今日のキーワードはこちら!
- Brain Assistant (ブレインアシスタント)
脳活動やカメラの映像などから人の状態をAIを用いて推定し,日常生活をよりよく生活できるようにアシストしてくれるっていう技術です.
具体的に詳しく見てみましょう.
1新技能習得の補助のBA
例えば,楽器の演奏や,スポーツの技などの新しい技能を習得すること.
このとっても大変な新しい技能の習得を,脳波やカメラなどのセンシング技術とAIを組み合わせることによって,効率的に学習できるようにしようという研究が行われています.
この研究を担当しているのは,ソニーコンピュータサイエンス研究所の古屋さん.
古屋さんはこれまでに,脳活動ではなく,カメラの映像から,例えばピアノの練習中に指がどんな動きをしているのかを解析する研究をしてきました.
これによって,上級者の指の動きと,初心者の指の動きを比較してみて,初心者がどのように練習すれば上級者のような上手な指の動きを実現できるのかをアドバイスするってことができるんですね.
カメラの映像の他にも鍵盤の圧力センサー,そして今回のムーンショットIoBで新しく脳活動を計測して,それぞれ解析することで,上級者の特徴と初心者の特徴を割り出し,その差を埋めるような練習方法を提案するという,Brain Asisstantの研究を始めています.
この研究がうまくいくと,例えば,脳波をBrain Assistantで解析して,
とか,
こんな風に,日常生活の上で役に立つプログラムを構築できちゃうんです.
2体調管理のBA
他にもこのBrain Assistantでできることは色々あって,例えば東京大学の中澤さんの研究.これもとっても面白くて,被験者が歩いている様子のビデオを見ただけで,その人が健康な人か,もしくはうつ病などの気分障害の人かを判別するなんていう研究を実施しています.
実際にその様子を見てみましょう.
こちらの動画の上の段が,気分障害の人・下の段が健康な人が歩いている様子です.
この動画の腕の振りに注目してみると一目瞭然なのですが,健康な人は大きく腕を振って歩いているのに対して,気分障害を持つ人は,腕の振りがとっても小さいです.
この特徴を使ってBrain Assistantシステムを作ることで,利用者がその日気分が良くなかったり,疲れている様子をいち早く検知して,利用者に休むことや病院の受診を提案するなどをしてくれるBrain Assistant システムを開発中なんだそうです.
更に中澤さんは,カメラだけでなく,脳波などの他のセンサーと組み合わせて,より高い精度や,広い汎用性のあるシステムを作る研究を実施中です.
この調子でこの研究が進むと,自分が意識的には気づけない体調の変化のサインをBrain Assistantシステムで検知して,日常生活をアシストしてくれる,そんな未来が待っているかもしれません.
Brain Assistantが実現すると,私たちの未来がより便利な世界になって,より幸福に生きることができそうですよね.
3センサー技術とBA
これらのBrain Assistantは,カメラだったり脳波計だったりのセンサーからの情報を頼りに,物事を判断し,私たちの生活を豊かにしてくれます.
それはつまり,センシング技術の発達に伴って,センサーから,より多くの情報を取得できるようになると,益々多くの便利で快適なサービスを提供してくれているわけですね.
このセンサー技術の改良を担当しているのが,慶応義塾大学の牛場さん.
牛場さんは脳波でマシンを操作する技術,Brain Machine Interfaceの研究を以前から実施しており,例えば,脳卒中で身体が思うように動かせなくなってしまった人の脳波を使ったリハビリ装置を作るなんてことをしていて,脳波計測のプロフェッショナルなんです.
そんな牛場さんが,脳波計や脳波の解析方法を改良することを担当しているので,今後はもっと高精度で質の高い様々な情報を使ったBrain Assistantシステムが実現するかもしれません.
ムーンショットIoB全体が,一般社会への影響まで考えてデザインされた研究プロジェクトなので,このまま研究が進んでいくと,近い将来,スマホのように,一人1台脳波デバイスを持つくらいに普及している未来になっているかもしれませんね.
BAの今後
さて,今回紹介したBrain Assistantですが,今後どのように発展していくのでしょうか.
ムーンショットIoBの大きな目標は
なので,その目標に向かって研究が進められていくと考えられます.
ここ数年のうちに,今日紹介した,技能の習得や体調管理の機能を体験できる研究用のアプリケーションが完成予定で,それを用いてガンガン実験したいと考えているみたいなんですね.
一般の皆さんが,実際にこの実験を体験できるようになるのはもう少し先かもしれませんが,この研究が順調に進むと,
自分の脳活動をモニタリングして,自分にぴったりの行動を教えてくれたり,技能を身に着ける助けをしてくれたり,自分で気づけない体調の変化に気づいてくれるBrain Assistant,めちゃめちゃ楽しみで是非使ってみたいですね.
また何か追加情報が入り次第皆さんに動画でお伝えしますね♪
BA まとめ
っていうことで今回は,
っていう,とっても挑戦的な科学技術プロジェクトムーンショットIoBの,脳活動を解析して,日常生活をよりよく生活できるようにアシストしてくれる研究,Brain Assistantについて紹介してみました.
自分が何も感じていない無意識な身体の不調のサインに気づいてアドバイスをくれたり,新しい技能を効率よく学ぶ方法を教えてくれたり.
聞けば聞くほど,このBrain Assistantは便利で面白そうで,絶対試してみたくなりますよね.
将来的に一般向けにこの技術が公開されたら真っ先に試してみたいって思いますので,最新情報が手に入り次第皆さんに情報をお届けしますね.
今後もこのBrain Assistantを開発する研究プロジェクト,ムーンショットIoBについてだったり,最新の科学技術だったりを動画で分かりやすく解説していきますので,今日の動画が面白かった,ムーンショットIoBを応援したいって思ったという人は是非,次回の記事も見てみてください.
次回はムーンショットIoBで取り組むもう一つの科学技術”Think Communication”について解説します!
考えただけでコミュニケーションという,テレパシーのような凄い技術について解説しますので,こちらも是非,見てみてください♪
それでは今日はこの辺で,また次回の記事でお会いしましょう.
ばいばーい.
前回の記事(ムーンショットIoB Part1)