[Neuralink] 脳波だけでゲームをする猿 !?
皆さんビックニュースです!!
脳の中に埋め込むタイプの電極を,凄まじい勢いで開発している,アメリカの実業家,イーロンマスク率いるNeuralink社がまた面白い研究成果を出したそうです.
内容は...
電極を脳に埋め込んだお猿さんが,
- 自由にコンピューターカーソルを操作
- PCのピンポンゲームを楽しむ
これまでにも,
は,昔からあったんだけど,
- 操作のリアルタイム性が低い
- 精度が高くない
って課題があって,ほとんど実用レベルには到達していなかったのですが,今回の研究成果では,めちゃめちゃ正確に,そしてスムーズに操作できるようになっています.
今日はこのNeuralink社の最新の研究成果の
脳の情報を読み取って動かす仕組み
とか,
これまでの研究とどう違うのか
あたりを現役で脳科学を研究している僕Rueが,わかりやすく解説してみます.
ちなみにこの内容は以前YouTubeでにも解説しているので,
動画で見たい人はこちらからどうぞ!
[Neuralink] 脳波だけでゲームをする猿 !?
今回の情報源はNeuralink 公式Youtubeチャンネルから.
それじゃ,まずは,ニューラリンク社について簡単に紹介.
ニューラリンク社は今脳科学会で最も注目されている会社で,最終目標として,
- レーシック感覚で脳に電極を埋める
- 脳とスマホで通信 >> 便利な暮らしに
- 身体が動かせない人のコミュニケーション手段
- 脳に障害を持った人の社会復帰
といったことを掲げています.
そのために,現在では,
脳に埋め込む電極の開発
手術ロボットを開発
実際に動物にこの電極を埋め込んでのテスト
(これらの画像は公式動画より)
前回は,昨年の夏頃に大きく成果を発表していて,電極をコインサイズにくらいに小型化したり,電極から計測した脳活動を解析することで,歩いている動物の体の位置を予測できたといった成果を報告しています.
詳しくは,こちらの記事で確認してみてね♪
そんなニューラリンク社が今回発表した研究成果は,
- 猿の脳に電極を埋め込んで
- 猿が脳活動だけでパソコンのカーソルを動かしたり
- 猿が脳活動だけでピンポンゲームをプレイ
ってものでした.
一度下記動画で実験の様子を見てみてください.
実験の様子はこんな感じ
猿の前にディスプレイを置き,右手のコントローラーでディスプレイ上のカーソルを操作させます.
そして,カーソルの位置が目標とする位置に達した時にジュースを与えるというやり方で,猿に自由にパソコンのカーソルを操作する方法を学習してもらうわけですね.
これだけでも,なんだかすごそうな結果だと思えるかもしれませんが,この後になんと,右手のコントローラーのコードを抜いちゃって同じ実験をしてみます.
こうすると,普通は勿論カーソルの操作は一切できなくなると思うのですが,なんとこの猿は,コントローラーのコードを抜いた後も自由にパソコンのカーソルを操作しちゃってたんです.
↓コードが抜けてる!?↓
実はこのお猿さん,コードを抜いた後は,脳に埋め込んだ電極から情報を拾って,カーソルを操作していたんです.
脳の情報を読み取る技術 -デコーディング-
このように,脳活動を計測して,脳が今何を感じているのかを読み取る技術のことを,専門用語でデコーディングというのですが,この仕組みを分かりやすく解説してみると,次の3ステップで実現することができます.
- お猿さんがカーソルを動かしている時の脳活動データを計測
- ①のデータを使って,特定の行動特有の脳活動パターンを発見
- リアルタイムで脳活動を計測して,②と照らし合わせながら,カーソルを操作
分かりやすく具体例を紹介しますね.
例えば,カーソルを↑に持って行きたいってことを考えてみると,今回の実験では右手のコントローラーを↑に動かしてカーソルを操作しますよね.
この「右手のコントローラーを上に動かした」時の脳活動をまずは,何回も何回も繰り返し計測しておきます.
そしたらこの①で集まった計測データを元に,「右手のコントローラーを上に動かした時」特有の脳活動パターンをAIなどを駆使して見つけます.
次に,例のコントローラーからコードを引き抜いた状態ですが,お猿さんはコードが抜けているってことに気づかないので,今まで通り,コントローラーを動かしてパソコンのカーソルを操作しようとしています.
この時,コードが抜けているので,当然コントローラーからパソコンへは情報は送られていないですが,頭に埋め込んだ電極から,コントローラーを操作している時の脳活動はパソコンへと送られています.
そのため,今のお猿さんの脳活動の中から,②で作った右手のコントローラーを上に動かした時の脳活動パターンをリアルタイムで検出して,最終的にパソコンのカーソルを操作しているんですね.
今回の発表のすごいところ
この実験のすごいところっていうのは,やっぱり1つはその精度とリアルタイム性ですね.
さっき元動画を見た人は分かるかもしれませんが,かなりスムーズに動かせててびっくりですよね!!
これまでの研究では例えば,人の頭皮上に電極をおいて脳活動を計測する脳波でカーソルを動かそうとしても,情報が粗くて,なかなか思い通りに操作することができません.
一方で,例えば,fMRIという大規模な装置を使って脳活動を計測してみると,かなりの精度で脳の情報を読み取ることができるのですが,装置の特性上,どうしても5秒以上のラグが出てしまいます.
こういった問題があったために,これまでなかなか実用化レベルのカーソル操作が実現できていなかったのですが,脳の中に電極を埋め込むことで,
できるようになったんですね!
もう1つすごいと感じたのはカーソル操作の滑らかさです.
脳は私たちの体の様々な情報を処理しているので,脳活動を計測していると,目的とする脳活動,今回の実験でいうとコントローラーを動かしている時の脳活動,以外の情報も記録しちゃうんですよね.
例えば,
そのため,従来のカーソルの操作の研究では,思い通りに動かせず,グニャグニャになりながら目的地へ到達するという感じなのに,今回の実験では,カーソルがほとんど一直線にスムーズに目的地へと到達してます.
どんな処理をしているのか分かりませんが,ものすごい進歩ことは間違いないと思います.
そしてこのお猿さんは最終的には,ハンドルの補助無し,つまり実際に腕を動かさなくても,手を動かすという運動のイメージだけでピンポンゲームができるくらいになってます.
これは,将来的に,
もあって本当に応用の幅がめちゃめちゃ広い研究なので,今後数年間で一気にまた発展してくれそうで,今からでももう未来が楽しみです.
まとめ
って感じで今日は,ニューラリンク社の最新の研究紹介と脳が今何を感じているのかを読み取る技術,デコーディングについて解説してみました.
まとめると,ニューラリンク社が新しい研究成果として,お猿さんが脳活動だけで,コンピューターのカーソルを自由に操作するって実験や,ピンポンゲームで遊べたよという実験を成功させました,
この実験では,デコーディングという手法が使われていました.
デコーディングというのは,
- お猿さんがカーソルを動かしている時の脳活動データを計測
- ①のデータを使って,特定の行動特有の脳活動パターンを発見
- リアルタイムで脳活動を計測して,②と照らし合わせながら,カーソルを操作
といった手順から構成されていました.
これらの研究は,従来の研究よりも,カーソル移動の精度やリアルタイム性,滑らかさなどの点でめちゃめちゃ大きく進歩していました.
最終的には,お猿さんはジョイスティック無しで,完全に脳だけを使ってピンポンゲームをできるまでになりました.
ってことでしたね.
脳科学という分野は,本当に今最も熱い分野で,毎年ものすごい技術がたくさん報告されています.
皆さんがびっくりするような,面白い脳科学の最新情報や,脳科学的に実証されている効率の良い勉強方法などの,明日から役に立つ情報を,このブログで引き続きお伝えして行きますので,気になる人はぜひ,ほかの記事も見てみてください♪