最強の脳トレ,ニューロフィードバックとは!?
こんにちは,バーチャルサイエンティストの卵のRueです.
皆さん,普段 「脳トレ」 してますか?
脳トレと聞くと,例えば任天堂スイッチの脳トレだったり,ナンプレの問題を解いたりして,記憶力や計算力,反応力を鍛えるってことを思い浮かべますよね.
脳を鍛える大人のNintendo Switch トレーニング
でも...
脳科学者の卵の僕にとってその脳トレはもう古い!
脳科学の最新技術を使えば,ゲームをするだけで
- 自分の脳活動を直接変化
- 集中力・記憶力アップ
- うつ病などの治療
- 英語のリスニングのRとLの聞き分け
- 他人の顔の好みを操作する
そんな,最強の脳トレが開発されてきています.
そんな脳科学界最強の脳トレの名前はこちら!
このページでは,大学の博士課程でこのニューロフィードバックを研究している僕・Rueが,
ニューロフィードバックの
- 仕組み
- 応用例
- いつ頃普及するのか
を分かりやすく解説します!
近い将来絶対に大ブームになること間違いなしの最強の脳トレ,ニューロフィードバックについて,研究者並みの知識を知ることができますので,是非最後まで読んでみてね!
ちなみにこの記事の内容は以前Youtubeにも投稿しているので,動画で見たい人はこちらをご覧ください.
ニューロフィードバックの仕組み
まずは,最強の脳トレ,ニューロフィードバックの仕組みについて紹介します.
ニューロフィードバックを一言で表すと...
わかりやすいように,うつ病を治療するためのニューロフィードバックを例に詳しく解説してみますね.
大まかな流れは以下の通り
- 健常者の脳活動データをお手本データとして計測
- 患者さんの脳活動データを計測
- ①と②の類似度を計算
- 類似度を円の大きさや棒の長さなどで表現
- ④を患者さんへフィードバック
詳しく見てみましょう.
まず,事前に健康な人の脳波やMRIといった脳活動データを計測しておいて,それをお手本データに設定します.
次に,実際のうつ病の患者さんの脳活動データを計測するのですが,この時の患者さんの脳活動がお手本データとどれくらい似ているのか,類似度っていうのを計算します.
この類似度を被験者自身に円の大きさやバーの長さといった形でリアルタイムでフィードバックしてあげることで,自分の脳がお手本データにどれくらい近づいているのかを知ることができますよね.
このフィードバックを頼りに,あ,今の感じはお手本データに近かったんだな,この調子ででやってみよう,とか,この方法は全然ダメだったな別の方法を試してみようのように患者さん自身で色々と試行錯誤しながら自分の脳活動をお手本データへ変化させることで,最終的にうつ病の治療を目指すってわけです.
ニューロフィードバックの応用例
ニューロフィードバックは元々は鬱や統合失調症のような精神疾患の治療を目的に開発されてきた技術ですが,最近ではめちゃめちゃ面白い応用ができることが報告されてきています.
例えば,
これは,音の違いに反応する脳波成分,MMNに注目し,このMMNが大きい時の脳波をお手本データに設定してトレーニングすることで,英語のリスニングのLとRの聞き分けが上手くなったという研究の報告です.(出典)
また,MRIを使った大規模なニューロフィードバック実験では,
つまり,特定の顔写真を好きにさせたり,嫌いにさせたりといったことができるというめっちゃすごい研究も報告されています.(出典)
例えば,被験者の方に僕の顔写真を好きになってもらおうとすると,まず事前にその被験者の好みの顔写真を見せている時の脳活動を計測して,それをお手本データに設定します.
そして,僕の顔写真を見ながら,お手本データ,つまり好みの顔写真を見ている時の脳活動へとニューロフィードバックトレーニングを行っていくと,いつの間にか,僕の顔写真の事が好きになっているってわけです.
逆に,嫌いな顔写真を見ている時の脳活動をお手本データに設定することで,僕の顔を嫌いにさせることもできるそうです.
正しく使えば,例えば,お酒やドラッグの依存から逃れる,食べ物の好き嫌いを無くすなんてものにも使えるようになるかもしれませんね.
ニューロフィードバックの3つの特徴
こんな応用可能性もりもりのニューロフィードバックですが,従来の脳トレに比べてすごい特徴を3つ持っています.
1トレーニングの目的を知る必要がない
従来の脳トレだと,
神経衰弱 ➡ 記憶力
計算 ➡ 処理能力
といったように,何を鍛えるためのトレーニングか分かった状態でトレーニングしていますよね.
でもニューロフィードバックでは,例えばさっきの鬱の治療のためのニューロフィードバックでは,鬱の治療をしようと思っていなくても,「円を大きくする」っということだけ意識してトレーニングすれば,いつの間にか鬱が治療されているって状態になるわけです.
この特徴はめちゃくちゃ応用の可能性があって,例えば,円の大きさでフィードバックするって特徴をカーレースゲームのスピードに置き換えてみると,カーレースのゲームをプレイしているだけで鬱の治療ができちゃうわけです.近い将来,ゲームをしているだけで集中力アップや記憶力アップ,英語の聞き分けができるようになるなんて世界になるかもしれませんね.とっても楽しみです.
2確実に脳が鍛えられていることが分かる
これまでの脳トレは,記憶力や計算のテストの結果が向上することによって,
一方,このニューロフィードバックでは,実際に脳活動を計測しているので,
- 理想とする脳活動に自分の脳がどれだけ近づいたか
- 学習の方向性はあっているのか
- あとどれくらいで目標が達成できるのか
これらが一目で分かります!
3今後も応用の幅が広がる
っというのも,一口にニューロフィードバックと言っても,今日紹介したように脳活動の計測方法や計測する部位,解析方法などによって色んな種類が存在します.
脳はまだまだ分からないことだらけですが,現在急速に研究されてきていて,これからもっともっとびっくりするような研究が出てくると思います.
それらの研究成果をニューロフィードバックに応用することで,自分の脳を理想の脳へとデザインできるようになる世界になるかもしれません.
今後の脳科学の発展に期待したいですね.
ニューロフィードバックの普及
そんな感じで将来性抜群の,このニューロフィードバックはいつ頃普及していくのかというと,実はもうすでにニューロフィードバックを利用した製品が販売されているんです.
例えば,簡易の脳波計測計で瞑想している時の脳波を計測することで,理想の瞑想をしている時の脳活動へとトレーニングする製品としてmuseが発売されています.
また,アメリカでは,鬱や統合失調症などの治療のためのニューロフィードバックは保険が適用されるほど一般的な技術になっています.
近い将来に手軽に脳活動を計測できる装置が開発されたり,日本でもニューロフィードバックが保険の適用対象になったりすると,認知度が一気に増えて色々なニューロフィードバックサービスが生まれると思うので,普及するのは実はそう遠い未来じゃないって考えています.
NFについて新しい動きがあればこのブログでもでどんどん紹介していきたいと思いますので,皆さん楽しみにしながらもうしばらくお待ちください♪
ニューロフィードバック まとめ
ってことで今日は,脳科学界最強の脳トレニューロフィードバックについて紹介してきました!
今日の話をまとめると,ニューロフィードバックは
- 自分の脳活動を理想の脳活動へ近づける技術
- 集中力アップ・記憶力アップ
- 精神疾患の治療や顔の好みの操作
- 被験者はゲームをするだけ
- 文句なし最強の脳トレ
悪用されてしまうと,洗脳まがいのことにも使われま寝ませんが,正しく使うとめちゃめちゃ有用な技術なので,きっと近い将来爆発的に流行ると確信しています.
このNFでもっと色んなことが出来るよう,そして社会へもっと普及するように僕はこれからも研究を続けていくので,是非応援よろしくお願いします.
今後もNFについての情報や最新の脳科学技術の情報をこのブログで発信していきますので,気になる記事があれば是非チェックしてみてください.
それじゃ,ばいばーい.